「またやったのか」。誰もがそう思っただろう。
麻生太郎副総理兼財務相の発言だ。
と言っても、「どの話?」ということになるくらい、この人は問題発言が多い。ここ数週間に限って紹介してみよう。
まず、6月22日の発言だ。森友学園事件に関する安倍晋三前総理夫人・昭恵氏の関与の記述などが公文書から削除された経緯を記した「赤木ファイル」。公文書改ざんを強要された近畿財務局の元職員、故赤木俊夫氏が自殺する前にまとめた資料が遺族側に渡された。そこには、これまで不明だった改ざんの経緯が詳細に記録され、佐川宣寿財務省理財局長(当時)が「直接指示」していたことも明らかになった。
こうした新事実の開示を受けて再調査を行うのかについて、麻生財務相は、「できる限り調査をつくした結果を示したものであり、再調査を行うことを考えているわけではありません」と述べ、ファイルを隠していたことについても、「真摯に対応してきたと思っている」と人を馬鹿にするような答弁をしている。
その後も、このファイルの件でたびたび質問して追及を続けた東京新聞の記者に対して、7月2日に「東京新聞。ああそう。その程度の能力か」などと侮辱発言をしている。公文書改ざんについて責任を取らず、逆に責任を問う記者を嘲笑う態度。ご遺族の雅子夫人の心の傷に塩を塗り込むような暴言でもある。「人間とは思えない」と言いたくなる。
麻生氏は、6月25日、過労で休養していた小池百合子・東京都知事ついて、「自分で撒いた種でしょうが」と述べた。病人に鞭うつような発言にあらためて、「人間として失格」という声が高まり、東京都議選での自民党の議席増の勢いを止めた。
さらに、7月5日には、台湾海峡情勢をめぐり「大きな問題が起き、日本にとって『次は』となれば、存立危機事態に関係してくるといってもおかしくない。日米で一緒に台湾の防衛をやらないといけない」と述べた。台湾有事の際、中国と戦争するかのような発言に中国側は強く反発したが、当然のことだろう。