医学部を卒業して大学病院の医局に所属するときも、本院にある第一外科、第二外科ではなく、分院の第三外科を選びました。真っ白な白衣に身を固め、肩で風を切って歩いていた第一、第二外科の先生方はまぶしくて嫌だなと思ったのです。人気がない分院の第三外科はみんな、よれよれの白衣でした(笑)。
このように私にとって、一流がピッタリこないのは、生来、競争することが苦手で、人より優位に立ちたいと思わないからかもしれません。一流、二流といっても、しょせん、人の目から見てのことで、自分自身にとっては関係がないように思います。人生の後半を自分の思うように生きるナイス・エイジングにとっては、一流、二流はさらに意味がありません。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2021年7月30日号