兵庫県のかるたには、こんな読み札がある。
<てのひらで はかってたべる たんぱくしつ>
担当者によると、
「肉でも魚でも、一日に片手いっぱいにのるくらいの量。生姜焼き用の厚めの豚肉なら1枚、薄切りなら3枚。魚だったら、切り身ひとつを目安にして食べてほしいです。もし毎日の料理が手間だというようでしたら、サバなどの缶詰を買い置きして、それを食べるのでもいいと思います」
とはいえ、肉を食べると胃がもたれる人も多いだろう。また、何種類もの食材をバランスよく食べようとすると料理が大変で、高齢者世帯ではなかなか難しい。そこで前出の柏原さんは、とにかくご飯をしっかり食べるように推奨する。
ご飯といえば、近年流行の糖質制限ダイエットで天敵のように忌み嫌われているが……。
「お米には糖質しかないと思っている人が多いようですが、タンパク質も入っているし、ビタミン、ミネラル、食物繊維も入っています。オールマイティーな食材なんです。胃腸の機能を保つ働きも期待できます。ただし玄米は消化が良くない。高齢の方は、少々の雑穀や麦を加えるのはいいですが、白米で十分です」
柏原さんが提唱する理想の食事とは、ご飯たっぷり、具だくさんの味噌汁、おかず1品の3点セット。
「おかずは、タンパク質のとれる肉、魚、卵、豆腐などを使ったものが1品あれば十分です。野菜はサラダよりも味噌汁でいただきましょう。生野菜は水分が多くかさばるので、栄養がとりにくい。加熱して小さくすると、量もしっかり食べられる上に栄養の吸収率も上がります。漬物があるとご飯を食べやすいという方は、漬物を添えるのもいいですね」
暑い時期は素麺で十分という考えでは、体が虚弱していく。メタボを恐れずにがっつりと食べることで、コロナ禍の夏を乗り切りたい。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2021年7月30日号