3年前、代表強化のトップである日本バスケットボール協会の東野智弥・技術委員長は本誌の取材にそう語った。当時、日本代表は東京五輪への出場権をかけたW杯アジア1次予選で4連敗。崖っぷちにいながらも強化の方向性に対する自信は揺らがなかった。

 当時、本場である米国の大学でプレーしていた八村、渡邊に加え、やはり2メートル超の渡邉飛勇(琉球)らの名前を挙げ、新しい力の発掘に力を注いだ。5年前にリオデジャネイロ五輪を目指していたころの代表メンバーの平均身長は190センチ台前半。東京五輪に選出されたメンバーの平均身長は196センチと、長年の課題だった高さは克服されつつある。

 フリオ・ラマス・ヘッドコーチ(HC)の存在も忘れてはならない。低迷していた母国アルゼンチンを強豪国に押し上げた実績の持ち主で、東野氏が何度も会いに行って口説き落とした。

「アルゼンチン国民の平均身長は日本とほとんど変わりません。それでもチーム力を高められた。ラマス氏退任後、04年のアテネ五輪では米国を破って優勝した。彼の手腕に託し、われわれの強化策が結実すれば、必ず日本のバスケは強くなる」

“歴代最強”と言われる男子日本代表。飛躍への舞台は整っている。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2021年8月6日号

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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