この世に生まれれば、やがて訪れる死。長寿国・日本でまさに“生き残り”のヒントとして、死因別からも市区町村をランキング化した。もちろん、生活習慣や体質など個人の事情に左右される部分は大きいが、地域性なども知っておきたい。
厚生労働省が6月発表した人口動態統計(概数)によると、20年の日本人の死因は「悪性新生物(腫瘍[しゅよう]」(全死亡者の27.6%)、「心疾患(高血圧性を除く)」(同15%)、「老衰」(同9.6%)などの順に多かった。
このため、全国状況をまとめた厚労省データから、直近13~17年の5年間の平均値を用いて「がん(悪性新生物)」「心疾患」は亡くなった人の割合が少ない順に、「老衰」は反対に多い順に、それぞれ独自集計。誌面の都合上、男女上位50とした。なお、各死因の死亡者が5人未満と少ない市区町村は、もとのデータでも省かれているので対象からは外した。
がんで亡くなる人が少なかったのは、男女ともに東京都小笠原村がトップ。男性は2位が富山県舟橋村、3位が三重県朝日町、女性は2位が愛知県長久手市、3位が石川県川北町だった。
小笠原村の担当者は好成績だった理由について「住民向けの健康診断事業に力を入れている」(医療課)と分析する。
「離島なので最先端の治療ができるわけではない。しかし、40歳以上の住民を対象に、無料健診をしたり、医師や看護師ら健診団の来島のタイミングに合わせて企業関係者向けの職域健診を実施したりするなど、多く健診を受けられるように努めてきました」
がんは早期発見・早期治療が大事だ。村の健診は胃カメラなど最初から項目を増やして実施する。医療のハード面の不利を逆手にとった態勢が奏功しているようだ。
心筋梗塞(こうそく)や心不全など心疾患で亡くなる人が少なかったのは、男性トップが福岡県新宮町、2位が同県粕屋町、3位が愛知県みよし市。女性は1位が宮城県富谷市、2位が福岡県新宮町、3位が愛知県長久手市。