銀メダルを獲得した稲見萌寧 (c)朝日新聞社
銀メダルを獲得した稲見萌寧 (c)朝日新聞社
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 東京五輪の女子ゴルフ競技が8月4日(水)から8月7日(土)までの4日間の日程で開催された。特に最終日は台風の接近もあり開催が危ぶまれ、54ホールの短縮も噂されたが無事に72ホールを完走した。そして、稲見萌寧がプレーオフの末に銀メダルを獲得。男女通じてゴルフ競技での日本人初のメダルとなった。

 稲見は1999年生まれの22歳。日本女子ゴルフ界においては、黄金世代とプラチナ世代の“狭間世代”と呼ばれた時期もあったが、2021年は国内ツアーで20試合に出場して優勝5回と驚異の勝率を叩き出し、古江彩佳や渋野日向子らとの五輪出場権争いを制した。

 初日は1アンダー「70」で首位と4打差の16位タイスタートとなった稲見。2日目は1イーグル、5バーディ(1ボギー)で「65」、3日目は5バーディ(2ボギー)で「68」を並べて浮上し、最終日を前に3位タイと絶好の位置につけた。

 稲見は今季国内ツアーではパーオン率で2位につけるショットメーカー。2日目はスコアに対する貢献度を示すストローク・ゲインドでアプローチが2.090を記録。3日目は同スタッツがややマイナスとなったが、パッティングが好調で1.597となりスコアメイクを助けた。

 そして、迎えた最終日。天候を考慮してスタート時間が早まったが、その影響を感じさせず、難しい1番からバーディスタートを決めると、前半は2アンダー。2つのボギーを叩いてもすぐにバーディを取り返す強い精神力を見せた。バックナインに入ると勢いは加速し、12番から4連続バーディを奪って一気に首位に接近する。

 ワンオン可能な17番パー4のバーディパットを前に、雷雲が接近した影響で約50分の中断を挟んだものの、再開後のパットを決めて、通算17アンダーに。この時点でトップを走っていたネリー・コルダ(米国)をついに捉える。

 首位タイに並んで迎えた最終18番はティーショットこそフェアウェイキープに成功したが、2打目がグリーン手前のバンカーへ。アゴに近い位置からの3打目で寄せ切ることができずにボギーとなり、2位タイでホールアウト。同じく通算16アンダーで並んだ元世界No.1のリディア・コ(ニュージーランド)と銀メダルをかけたプレーオフへと突入する。

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稲見の勢いは国内ツアーでも止まらない?