プレーオフはコがティーショットをバンカーに入れて2オンならず。一方で稲見は確実にパーオンに成功しパーセーブに成功。コは微妙な距離のパーパットを決めることができず、これで稲見の銀メダルが確定した。4日間を通じて、合計のストローク・ゲインドで4.799と高い数値をマークしたティーショットが安定したことがメダル獲得に大きく繋がった。

 稲見らを抑え、金メダルを獲得したのは、現世界No.1のネリー・コルダ。2日目に「62」をマークして一気に抜け出すと、最終日は7番でダブルボギーを喫するなどピンチを迎えたが、リードを守り切った。これで男子のザンダー・シャウフェレとともに、東京五輪のゴルフ競技は米国勢が金メダルを獲得する結果となった。

 金メダルはならなかったが、日本人として初の偉業を達成した稲見は「(東京五輪の出場は)想像できなかったです。出場できたことが奇跡」と五輪は夢の舞台だったと語り、「日の丸を背負ってメダルを獲得できて嬉しいです。私の人生の中で一番の名誉なこと。すごい重大な任務を果たした感じです」と代表選手として結果を残し、笑顔を見せていた。

 驚異的なペースで勝利を重ね代表の座を掴んだ稲見は、勢いそのままに五輪でも素晴らしいゴルフを見せた。何より光ったのがその勝負強さ。今後も国内ツアーでも勢いは止まらないのか。“銀メダリスト”として参戦する次の大会でのプレーにも注目して欲しい。

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