「いまこそ東京を香港に代わるアジアトップの金融センターに押し上げる好機であるにも関わらず、新たに大阪や福岡に拠点を整備するというのは荒唐無稽です。麻生財務相の鶴の一声で、3拠点となり、1ヵ所は菅首相・日本維新の会ラインへの配慮から大阪へ、残り1ヵ所は自らの地元福岡へと差配し、公募などにかけるまでもなく決めてしまった。なぜ、東京の金融センター強化でなく、福岡なのか?とアジアのライバルである中国(上海)、韓国(ソウル)でも噂に上ったそうです。結局、菅首相は麻生財務相を忖度せざるを得なかったわけです」(財務省関係者)

 自民党も7月に「国際金融センター構想を応援する議員の会」を設立し、東京・大阪・福岡の3都市の構想を後押しするという。麻生財務相は地元福岡での国際金融拠点整備を着実に進めている。

「表向きは福岡県知事や福岡市長を旗振り役としているが、完全に麻生財務相の影響化にあります。如実なのは、地元の産学官で構成される国際金融機能を誘致するための推進組織『TEAM FUKUOKA』のトップに麻生財務相の実弟で麻生セメント会長の麻生泰氏が着任していること。泰氏は菅首相と公邸で面会した巌氏の父親です。麻生一族を挙げての野望が透けてみえます」(前出の政府関係者)

 菅首相の支持率急落でポスト菅が注目される中、麻生財務相の「ワンポイント」再登板という声も上がる。「我が世の春」はいつまで続くのだろうか。(今西憲之 AERAdot.取材班) 

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