ところが、スタートしてまもなくワクチン不足に陥り、職域接種が一時中断される事態となった。
「ワクチンの職域接種がストップした際、桜十字グループ側から官邸に問い合わせと称する要請が入ったそうです。麻生財務相の顔もあり、桜十字グループは必要量を確保できたと聞きました」(前出・官邸関係者)
そして職域接種でのワクチン確保をめぐり、密かに地元で注目された人物がいる。麻生氏の長男で、グループ企業「麻生商事」の社長を務める麻生将豊氏だ。現在は麻生氏の地盤、福岡県飯塚市の青年会議所の会長などを務める。自民党の九州選出の国会議員はこう話す。
「近い将来、麻生氏の跡継ぎは将豊氏と言われている。菅首相と面会をしたのは、甥の巌氏だが、裏で企業をとりまとめていたのは、長男の将豊氏。桜十字グループなど将豊氏と近い関係の企業が早くから動いていた。そこに麻生財務相の後押しがあれば、鬼に金棒だ。ワクチンの数がない時に、九州の大手企業Tは将豊氏のルートで、3万5000本を調達したという話が流れた。Tの社長は将豊氏と食事をともにする親しい関係です。将豊氏はワクチン接種を手際よく実現させ、地元で一気に名前をあげた」
桜十字グループはワクチン接種の個別の情報は公表していない、としながらもAERAdot.の取材に対し、こう回答した。
「菅首相と面会時は、西川にとって慣れない場という事で、同じく病院経営に知見がある麻生(巌)社長にも同行してもらいました。菅首相にはワクチン接種の加速化に向けた改善点、地域の医療状況についてお話をさせていただきました。桜十字グループでは、予防接種を始めとして、多くの職域接種を地域の企業などに提供してきております」
麻生財務相のキングメーカーとしての権勢はまだ続く。菅政権は政情不安の香港に代わるアジアの金融ハブをつくる「国際金融都市構想」を掲げるが、東京に加え、大阪、福岡を含めた3拠点に国際金融センターを整備することが決まっている。