うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格した杉山奈津子さんも、いまや小学生の男の子の母。日々子育てに奮闘する中でとり入れている心理テクニックや教育方法をお届けします。
杉山さん自身が心理カウンセラーとして学んできた学術的根拠も交えつつ語る『東大ママのラク&サボでも「できる子」になる育児法』も絶賛発売中です。ぜひご覧ください。
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育児をしていると、頻繁に怒りたくなる事態に遭遇しますよね。
子どもがものを散らかして片付けない、しょっちゅうよそ見をして食べ物や飲み物をこぼす、宿題をなかなかやらない……などなど。
精神的・体力的に余裕があるときならまだしも、疲れているときだと本当に気がめいり、子どもに向かって声を荒らげて怒りたくなってしまうこともあります。
■怒りを自分でコントロールできるようにしておく
しかし、たとえば片付けをしなかったことに対して、あるときは少し注意されただけなのに、あるときは怒鳴られてしまったら、子どもはどう思うでしょうか。
自分の行動が、前回と比べてなぜひどく怒られてしまうものだったのかと、原因を考えて混乱してしまうことでしょう。
親の気分しだいで子どもの行動に一貫した態度を取らないのは、つまり親の都合で子どもを振り回してしまうわけで、決して良いこととはいえません。
ですから、怒りをある程度、自分でコントロールできるようにしておくことは、子育てをするうえでなかなか有益なことだと思います。
ただ、頭で「怒らないようにしよう」と思い、実際にその通りにできるなら苦労はありません。
そこで、米オハイオ州立大学の心理学者ブラッド・ブッシュマンの「怒り」に関する実験を紹介したいと思います。
■「怒り」に対する三つの行動の違い
仕掛け人に被験者たちをわざと挑発してもらい、怒らせるように仕向けた後、怒った人たちに次の三つのうちいずれかの行動をとってもらうのです。