一つ目は、怒りの感情を思いっきりむき出しにしてもらう、というもの。怒らせてきた相手のことを頭に浮かべながら、感情にまかせて気が済むまでサンドバッグを殴ってもらいました。
二つ目は、気分を変えてもらう、というもの。怒らせてきた相手を思い浮かべるのではなく、エクササイズをする気分で、サンドバッグを殴ってもらいました。
三つ目は、サンドバッグは使用せず、ただ静かに過ごしてもらう、というもの。 その場に座ったまま2分間、怒らせてきた相手のことを思い浮かべずに、目を閉じ、静かに瞑想(めいそう)してもらいました。
その後、これらの行動をとった人たちに、「怒らせてきた相手に対して、今、自分はどの程度怒っているか」を、「音を立てること」で表現してもらいました。
すると、「怒りの感情をむき出しにする」という、一つ目の行動をとった人たちが、最も大きな音を立てたのです。さらには、音を立てていた時間も長く、非常に攻撃的になっていたことが伺えました。
次点は二つ目の、気分を変えてもらった人たちで、音は立てたものの、一つ目の人たちと比べると心に余裕が感じられました。
そして三つ目の瞑想してもらった人たちはどうであったかというと……なんと、みんな心が落ち着いていて、ほとんど音を立てなかった、というのです。
■怒りが湧いたら、静かにスルーすること
この実験の結果から、怒りが湧いてきたときにはその感情を発散させようとせず、むしろ動かないことが、最も頭に血が上らない方法だとわかりました。
自分の中にある感情をうまくコントロールするためには、まずはその感情に向き合わずに、あえて数分間静かにスルーしてみるのがベストなのです。
私の場合、嫌なことがあると、ストレス解消のためと称して、たくさん甘いものを食べたり、欲しかったものを買ったりなどしていたのですが、つまりそれらの行為は、怒りを忘れるためにはあまり効果的ではなかったということになります。
杉山奈津子
〈受験シーズン〉東大卒ママ受験シーズンに伝えたい 合格する人・不合格の人の決定的な差は「復習」にあり