11月14日に福島、茨城両県で最大震度4を観測した。それ以外にも石川県など各地で地震が続き、巨大地震への不安が募る。揺れや津波だけでなく、冬の寒さも命を危険にさらす。どう身を守ればいいのか。2022年11月28日号の記事を紹介する。
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「地震発生、地震発生」
11月6日午前8時30分、宮城県石巻市の防災行政無線のサイレンが鳴り、訓練の緊急地震速報が流れた。
東北の太平洋沖を震源とするマグニチュード(М)9の巨大地震が発生し、市内でも最大震度6強を観測したとの想定。県が5月に公表した津波浸水想定では、石巻市には地震発生から21分後に高さ1メートルの第1波が押し寄せる。
市は市内各所に避難場所を28カ所開設。その一つ、海から5キロ近く離れた市街地にある向陽小学校には50人近くが避難し、避難経路や避難所開設の手順などを確認した。小学校がある蛇田地区は、津波で2メートル近く浸水する。
真っ先に避難してきた相原由美さん(45)は2011年3月の東日本大震災の時、妊娠3カ月で海に近い会社で働いていた。強い揺れに驚き、地震の際の知識が何もなかったのでパニックになった。幸い高台に避難し無事だったが、逃げ遅れるなどした同僚2人は、津波で亡くなった。以来、防災訓練には必ず参加しているという。
「いつまた大きな地震と津波が来るかわかりません。訓練に参加して、いざという時に備えたいです」
■108市町村が指定
大地の揺れが各地で相次ぐ。
そんな中、切迫度が高まっている地震の一つが、東北沖の「日本海溝」と北海道沖の「千島海溝」沿いで起きるとされる巨大地震だ。両海溝では太平洋プレートが列島の下に沈み込みひずみがたまり続け、関係者は「最大級の津波の発生が切迫している」と警戒する。
今年9月末、政府は中央防災会議を開き、日本海溝と千島海溝の地震で甚大な津波被害の恐れがある地域を「津波避難対策特別強化地域」に指定した。指定されたのは北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の1道6県、太平洋沿岸部を中心に108市町村。足を取られ身動きできなくなる、高さ30センチ以上の浸水が地震発生から40分以内に生じる地域だ。対象となった自治体では、避難場所や防災訓練の実施などに関する計画を策定することが努力義務となる。
さらに政府は11月8日、両地震でM7以上の地震が起きた後、続けて巨大な「後発地震」が起こる恐れが高まっているとして、住民らに対し発生から1週間、直ちに避難できる態勢で過ごすよう促すと公表した。運用は12月16日からだ。