「子どもたちが有賀さんのお家へ遊びに行った時、パンを1斤丸ごと使ったフレンチトーストを出してくださったことがあります。うちの息子が帰ってきて『とても楽しかった!』と教えてくれました。そんなふうに、何か工夫して人を楽しませるのがうまいんですよね」
ママ友たちが手料理を持ち寄る集まりもよく開かれた。小さな子どもを抱えて誰もが忙しかったが、「暮らしを整えること」を大切にしていた。中でも有賀はどんなジャンルの料理も得意で、ご馳走になるのが楽しみだったという。
「印象的だったのは、夫の能勢さんがマンションの管理組合理事長を務められ、次の方にバトンタッチする際、有賀さんが理事長の仕事をきちんとマニュアルにまとめられたことです。年間の業務を整理し、いつ何をやるかわかりやすく形にしたので、後の人たちはずいぶん助かったと思います」
有賀自身には「そういえばそんなこともありましたね!」という程度の記憶だった。もうちょっとこうなるといいのにと思うと、すぐ手が動く。この「問題に気づく力」や「改善する力」がスープ作家の仕事にも生かされているのではないか。
「皆さん誤解されてるんですけど、私は問題の棚卸しをして論理的に考えてるわけじゃないんです。一瞬で思いつく、ひらめくんですよね。それをビジュアル化することはできると思います」
(文・千葉望)
※記事の続きは2021年9月13日号でご覧いただけます
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