デビュー戦でアキレス腱断裂したエリック・テームズ(C)朝日新聞社
デビュー戦でアキレス腱断裂したエリック・テームズ(C)朝日新聞社

「やっぱり打点とか、長打力とかっていうところが去年は(足り)なかった部分で、それを期待して2人にはメンバーに入ってもらってるわけなので。今日はホントに、まさにそのとおりの仕事をしてくれたのかなと思います」

 この日の2人の働きを、そう評したのは高津臣吾監督である。オスナは7月には打率.442、3本塁打をマークする一方で、8月は打率.178、0本塁打と波があるものの、ここまで114試合に出場して打率.266、13本塁打、59打点。8月はやはり打率.206、2本塁打と調子を落としていたサンタナも、10月に入ってチームトップの6本塁打を放ち、月間打率.353、12打点で、シーズン成績を打率.282、18本塁打、56打点(111試合)まで上げてきた。

 近年は外国人野手1人という体制が続いていたヤクルトにあって、2人の助っ人が100試合以上に出場するのは、2012年のウラディミール・バレンティンとラスティングス・ミレッジ以来。今年はそのオスナとサンタナに加え、2人と時を同じくして来日したピッチャーのサイスニードも13試合の先発で6勝2敗、防御率3.41と、“新外国人”が揃ってチームに「プラスアルファ」をもたらしている。外国人選手獲得の上手さに定評のあるヤクルトの面目躍如と言っていいだろう。

 翻って阪神は、投打の新外国人がほとんど戦力にならず、現在3位の巨人もエリック・テームズが初出場の試合で右アキレス腱断裂の重傷を負う不運があったとはいえ、途中入団も含め3人の新外国人はすべて帰国。この差は大きい。

 もっとも10月19日の阪神戦では、久しぶりに五番で起用されたサンタナが初回の1死満塁の好機で併殺打に倒れるなど4打数1安打。七番に下がったオスナは、3打数ノーヒットに終わった。

「自分の調子が良くない時でも、後ろにいるムーチョ(中村悠平)やサンタナがカバーしてくれるっていう信頼があるし、逆にヤマダ(山田哲人)やムラカミが打てない時は自分がカバーしたいっていう気持ちが強い」

 オスナは以前、そう話していたことがある。勝てばマジックを「2」として本拠地の神宮に戻ることができる今日の一戦。今年最後の阪神との直接対決で、サンタナともどもしばしば口にする「help the team win(チームが勝つ手助けをする)」を実行できるか──。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

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