秋が深まり、大学駅伝シーズンが到来している。今月10日に開催された三大駅伝初戦の出雲駅伝では、東京国際大が予想を覆す “圧勝劇”を披露。本命の駒澤大、対抗の青山学院大などの有力校を抑え、大会史上初の初出場初優勝を成し遂げた。今年も続く「駅伝戦国時代」。果たして全日本駅伝(11月7日)、そして正月の箱根駅伝(1月2、3日)では、どのようなレースが展開されるのだろうか。
改めて東京国際大の出雲路を振り返ると、まず1区で山谷昌也(3年)がトップと5秒差の3位と好スタートを切ったことが大きく、続く2区・佐藤榛紀(1年)が3位をキープした後、3区で丹所健(3年)が創価大のフィリップ・ムルワに次ぐ区間2位の快走でトップを奪取。そのまま最終6区では史上最強ランナーとの呼び声も高いイェゴン・ヴィンセント(3年)が余裕の走りで2位に1分57秒の大差をつけてフィニッシュした。
だが、このままの流れで全日本、そして箱根も走り切れるほど“甘く”はないだろう。なにしろ、出雲での予想外の展開は、スタート時の気温30.5度という異例の暑さによる影響が大きかった。東京国際大の“快走”は賞賛されるべきだが、他の有力校のランナーたちが持ちタイム通りの走りをできなかったことは事実で、東京国際大の優勝タイムも現行のコースとなってから最も遅いものだった。周知の通り、6区間45.1キロメートルの出雲駅伝から、全日本は8区間106.8キロメートル、箱根は10区間217.1キロメートルと距離が伸びる。走る人数も増えれば、レース展開も必ず変わってくる。
逆転候補の一番手は、やはり駒澤大だ。出雲では序盤から苦戦し、最終6区で田澤廉(3年)が襷を受け取った時にはトップと2分22秒差の8位で、田澤も5位までしか順位を上げられず。主力数人を欠き、1、2年生の経験不足(1区から5区まで出雲駅伝初出場)が響いた形となった。だが、所属メンバーの持ちタイムだけを見れば「一強」とも言えるほどの力があり、特に大エース・田澤に加えて唐澤拓海(2年)、鈴木芽吹(2年)の三本柱は強力。9月に右大腿部を疲労骨折した鈴木が復帰し、佃康平(4年)、山野力(3年)、白鳥哲汰(2年)の出雲不出走の箱根Vメンバーたちが本来の走りをできれば、2年連続での「全日本&箱根」の2冠獲得の可能性は高い。懸念は出雲でも露呈した若さ(全日本でもエントリー16人中10人が1、2年生)。1区、2区の入りが大事になるだろう。