「日々SNSの投稿やネット記事を読み、『文章』自体には多く触れているはずなのに、一方でまとまった時間をとって本を読むということのハードルの高さ、習慣作りの難しさを実感します。でも断片的な情報だけでない、体系立てた情報をインプットして考えを深掘りしたり、多角的な視点を得るためには本という媒体はとても重要」

 と話すのは「fair」代表理事松岡宗嗣さん。本によって、週末などにまとまった時間をとって一気に読むものと、毎晩寝る前などに少しずつ読み進めるものとに分けているそう。

 子育て中となれば、さらに読書に費やすことができる自分の時間は削られる。「絵本のある親子のまなびや」を主宰する植木恭世さんは、家のあちこち、カバンのあちこち、あらゆるところに本を忍ばせて、いつでもどこでも読める状態をつくっているという。

■読み切らなくていい

「ふとできる『読書タイム』のチャンスを逃さないため、『あちこち置き』はオススメです。一冊の本を読み切らなければ次の本を読んではいけないという思い込みを持っている人がいますが、同時並行であれこれ読むことを自分に許せば、思っている以上に読書が軽快に進むものです」(植木さん)

 同じ方法を実践するのが、『おうち性教育はじめます』(共著)などの著書があるマンガイラストレーターのフクチマミさん。

「本は紙で買って、家の数カ所に読みかけのまま置いています。お湯を沸かす間、洗濯機の脱水の待ち時間など生活の合間合間に近くにある本を手に取って読むことが多いです」

 忙しい毎日。だがその隙間に生まれる読書時間は、自分だけの宝物だ。

(編集部・高橋有紀)

AERA 2021年11月8日号

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