(AERA 2021年11月22日号より)
(AERA 2021年11月22日号より)

 魔物に襲われそうになったら、「なぜ中学受験するのか?」という大きな問いに立ち戻るといい。どんな受験攻略本にも書かれていない、自分だけの進むべき道が見えてくるはずだ。向き合うたびに答えは変わるかもしれない。でもそれは、親として成長している証拠だ。


 特に小6の11月には、ほとんどの中学受験生の親が魔物に襲われる。模試の機会も残りわずかとなり、いよいよ現実を受け入れることを迫られるからだ。


 目の前の、ままならない現実に我を見失いそうになったら、「仮に第1志望校に合格しなくても、最後に笑っていられるとしたら、どういう状況か?」を考えてみてほしい。そこで親が視野を広げ、腹をくくれれば、入試本番直前期にパニクってわが子の足を引っ張る心配もなくなる。


■無機質な環境の中で


 ひるがえって、たとえば反抗期に受験勉強もしなければならない負荷の中でこそ精神的に成長できるのだと考えるのなら、むしろ中高一貫校に行くべきではないし、親自身が人生をかけた挑戦をしていてその背中を見せて子どもを育てるのだというのなら、新たに親子の冒険を始めなくたっていい。


 しかしもし、21世紀の日本社会で子育てをしており、そんな一見無機質な環境の中で、それでも子どもとともに熱い大冒険を経験したいと思うなら、中学受験という機会を利用してみるのも一案だと思うのだ。(教育ジャーナリスト・おおたとしまさ)

AERA 2021年11月22日号

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