夢グループ・石田社長手書きの台本(夢グループ提供)
夢グループ・石田社長手書きの台本(夢グループ提供)

 そこで社長自らCMに出演し、自身の口で商品を説明することにした。

 すると──。コンサートのオープニング時に社長があいさつすると、客席から「パジャマ買ったよ、気に入ってるよ」「CM見たよ」と、好意的な声をかけてもらえるようになったという。

 夢グループでは今年5月から、すでに全国85カ所で自社商品を売る催事をしている。4トントラックに商品を積み、社長も必ず同行。テレビCMのせいか、この催事で行列ができるという。

◆初回サービスがペイできるワケ

「お客様は60~80代の方が多いのですが、『テレビ見てるわよ』と歓迎されるようになりました。お客様としても、CMを見て電話で注文するより、実際に手に取って確かめてから買うほうが安心できると言う。テレビCMで売れなかった商品が、催事では人気だったりすることもある。なのでウチは催事を大変重視しています」

 夢グループならではの“強み”もあるという。CM映像の制作費が高額なのを知って尻込みする企業も多いなか、同社はコストの大幅ダウンを実現できた。自社の会議室をスタジオに改装し、台本は社長自ら書く。出演するのも自社のタレントと社長本人だ。

「撮影カメラマンのギャラが3万円。いっぺんに3本まとめて撮影すれば、1本あたりのギャラは1万円になる。さらに映像編集に1万円で、最安なら2万円で作っているんです。昔、通販や歌謡番組を作ってきた経験が生きているわけです」

 各社がしのぎを削る通販CMの世界は、かくも厳しいコスト削減策を実施しているようだ。となると気になるのが、CMでおなじみの「初回無料!」とか「初回1家族様に限り半額以下の2千円」といった商売で、果たしてやっていけるのかという点だ。

 テレビ通販を中心としたダイレクトマーケティングを支援する「トライステージ」の前田充章副社長はこう分析する。

「初回限定でうまくいくのは、やはり医薬・健康食品ですね。初回が『大サービス』でも継続で1年使ってくれればペイできる。初回購入者の継続利用率のデータが利用できるので、初回サービスも可能なのです」

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