毎日、何時間も格闘しながらご飯を与えましたが、十分な量には届かずみるみるうちに痩せ細り、体重は5.5kgから4.5kgまで減少。当初は、捕まえて押さえつけるのも大変だったのが、簡単に捕まえられるようになり、抵抗力も失って「これが、あのニャジラなのか?」と涙する日々が続きました。

 食欲減退の原因となりうる口腔内感染症も治し、(入院生活のせいで抑うつ的になったのかと)ホルモン剤を耳の内側に塗り、食欲増進剤も試しましたが、効果がありませんでした。

 何度も動物病院に足を運び病状について報告し、獣医さんたちに病態を検討して頂きました。

入院して点滴と経管栄養をしていた時のニャジラ(提供)
入院して点滴と経管栄養をしていた時のニャジラ(提供)

 その結果、付いた診断はFIP(伝染性腹膜炎)でした。

 FIPとは、猫コロナウイルスが原因で起こる、感染症のひとつです。多くの猫が保有していますが、(集団でいると起こりやすく)このウイルスがある時、突然変異することがあります。その突然変異したウイルスで生じた病気がFIPと呼ばれ、食欲を失い、意気消沈し、そして衰弱していき、致命的な症状を起こします。ニャジラの場合はウエットタイプで腹水もたまりました。

 10年くらい前のガイドラインには、治療をスタートして3日間で効果がなかったら安楽死を考慮する必要があると書かれていたほど、難しい病気です。

 ニャジラは11月19日から再び入院となり、日本では入手が困難な「Mutian(ムティアン)」という薬を毎晩、皮下注射することになりました。期間は8週間から12週間です。2019年に「Mutian に治療効果があるのではないか」と言われてから、期待が持てるようになっています。

 ニャジラに不足している栄養は点滴と経管栄養で補っていましたが、それだけでは不十分だったし、経管栄養を自分で抜いてしまうため、経口摂取をするしかありませんでした。それで、妻と交代で、毎日、何時間も動物病院に詰めて、根気強く強制給餌を行いました。

 病院でも看護師さんたちが与えてくれますが、食べるのに時間がかかり(ニャジラだけにつきっきりになれず)そうなると「食べませんでした」となる。だから夫婦で病院に通いました。

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