注目は先進工学部。基礎工学部に従来あった3学科を「電子システム工学科」「マテリアル創成工学科」「生命システム工学科」に改称・再編し、21年に新たなスタートを切った。この年の入試(大学独自試験)では、昨年3.3だった倍率が3.8に。その要因には「『長万部(おしゃまんべ)効果』も関わっている」と中尾さん。「長万部」とは、理科大が北海道長万部町に持つキャンパスのこと。従来、基礎工学部の1年生は長万部キャンパスで寮生活を送っていたが、学部学科の再編で20年以降は東京・葛飾キャンパスで4年間の一貫教育を行う体制となった。

 中尾さんは「大学としては長万部での寮生活を通じて、仲間と協同する精神を養ってもらう狙いがあった。だが、北海道で寮生活を送ることに抵抗感を抱く受験生もいたのではないか」と話す。

 コロナ禍では受験生の実学志向が高まり、全国の大学で理系学部の人気が上昇している。来年以降も理科大人気は続くと見られる。(本誌・松岡瑛理)

(週刊朝日2021年12月31日号より)
(週刊朝日2021年12月31日号より)

週刊朝日  2021年12月31日号