「習い事のリサーチや宿題のサポート、送迎が育児時間に加わりました。女性は自分のキャリアを犠牲にして我が子に向き合いますが、大半の男性はそこから離れてフリー。責任があると思っていません」(藤田教授)
では、いったいどうすれば現状を打開できるのだろうか。藤田教授はこう話す。
「男性の長時間労働がなくならない限り難しいでしょうね。夫も妻のキャリアをサポートする時間をつくるようになれば、おのずと女性が自由になれる」
■単純に時間で考えない
男性のワーク・ライフ・バランスに詳しく、コロナ後の働き方について調査を続けている芝浦工業大学の加藤恭子准教授(組織行動論)は、
「夫が在宅勤務をすると妻の負担感が減るのは間違いありません。洗濯物や布団を取り込んでおく、お風呂のスイッチを押す。時間にするとたいしたことではありませんが、それだけで妻の自由度が増す。単純に時間で考えずに、育児の負担が軽減される状態とはなんであるのか。夫婦できちんと議論することが大切です」
日本の育休制度は、国の法律で定められていて、勤務先の規模にかかわらず、会社員なら誰でも取得できる権利だ。前出のファザーリング・ジャパンの林田さんは「取得できる期間や男性育休が明記されている点などが他国と比較すると、ぜいたくすぎるくらい充実している」と評価した上で、こう話す。
「あれこれ機能がつきすぎて、最新の全自動洗濯機のように結局使いこなせていない。分業体制の強化ではなく、夫婦の協業体制を構築する期間として上手に活用する期間です」
まず重要なのは、男性育休だ。岐阜県の公務員の男性(35)は第1子が生まれ、現在、1年間の育休を取得中だ。
「職場の理解もあり、取得はすんなり決めました。キャリアレースには遅れるけれど、それ以上に妻と一緒に子育てを共有できてよかった」
一方、厚生労働省が21年に公表した調査では、過去5年間に、男性が育児に関する制度を利用しようとして認められなかったり、悪意ある対応をされたりするハラスメントを受けたと答えた割合は26.2%だった。埼玉県のメーカー勤務の男性(44)は、長男(6)の時は半年間、次男の時は1年間育休を取得した。男性の多い職場で、ほぼ初めての取得者だったために、