フィギュアスケートのシーズンが本格的に始まる。10月21日、世界の強豪が集うグランプリ(GP)シリーズが開幕する。ポスト北京五輪の今季は世代交代や復活のドラマが予想される。AERA 2022年10月10-17日合併号の記事を紹介する。
* * *
日本男子は群雄割拠の様相だ。2022年世界選手権王者の宇野昌磨(24)と北京五輪銀メダルの鍵山優真(19)の2強に挑む「第3の男」の戦いが熱い。羽生結弦がプロに転向したことで、全日本選手権の表彰台や世界選手権出場のチャンスが広がり、シーズン前半のGPシリーズから激しく火花を散らす。シリーズは全6戦のうち、主要選手は2戦に出場。各種目上位6人・組がGPファイナルに進む。
世界王者としてシーズンを迎える宇野=スケートカナダ、NHK杯=はオフの間、積極的にアイスショーに参加し、今季のプログラムを何度も滑り込んだ。
「あとは試合でやるだけという状態。けがをせずに1年過ごせば成長するシーズンになる」
ジャンプに関しては、4回転フリップを武器に、フリーで「4回転4種類5本」を継続。表現面でも、ショートプログラム(SP)の「Gravity」で力強さを、フリーの「G線上のアリア」で繊細な美しさを、見事に滑り分ける。
「やはり表現がフィギュアスケートの魅力。少しでも違う一面を見せて、驚いていただける、楽しんでいただけるように滑っていきたい」
五輪、世界選手権とも銀メダルの鍵山=スケートアメリカ、フランス杯=は勢いが止まらない。4種類目の4回転となる4回転ルッツを練習中で、夏の時点での成功率は70%だという。
「ループとルッツを最初に入れるので、4回転トーループは2本とも後半に持っていくことになり、体力的にかなりキツくなっています。最終的には、4回転5本を入れたいです」
新たな持ち味を引き出そうと、SPはロック調を選曲。羽生の振付師の一人、シェイリーン・ボーン氏に依頼した。