ほぼ2年半ぶりの兄弟夫妻そろっての登場に、「和解への第一歩」「祖母追悼の気持ちが兄弟をまとめた」「兄弟が昔のように共に歩く姿はやはり頼もしい」(タブロイド紙)と歓迎する声がある一方、「開始予定から45分も遅れたのはなぜ」「一時停戦に過ぎない」(タイムズ紙)などとする声もあり、評価は分かれる。また、キャサリン妃とメーガンさんの間に常に兄弟が入り、決して横に並ばなかったことから、義理の姉妹のほうが確執は深刻なのではとの声もあがった。
エリザベス女王の逝去は、一つの時代が終わったことを意味する。言葉の力で国民をまとめ、励まし、時には温かいユーモアのセンスを見せた。王室の「要」であった女王が亡き後、心配は尽きない。
イギリスと旧イギリス領植民地などからなる国家グループ、英連邦から共和制に移行する動きが加速する気配がある。常に国々の和解を目指し、ソフト外交のエキスパートだった女王の手腕を新国王は再現できるか。付きまとうダイアナ元妃の影を振り払えるだけの迅速で目覚ましい言動が、国内外から早くも求められている。
(ジャーナリスト・多賀幹子)
※AERA 2022年9月26日号