バッキンガム宮殿の前には多くの市民が、エリザベス女王に哀悼の意を捧げるために集まった
バッキンガム宮殿の前には多くの市民が、エリザベス女王に哀悼の意を捧げるために集まった

 その後スピーチでは、母をたたえ、人々の追悼に礼を述べ、路線の踏襲を誓った。その時また目に光るものがあった。スピーチの評判も上々で、新国王への期待もあってか、まずまずの滑りだしだ。

 国王は70年間、母の仕事ぶりをつぶさに見てきた。準備は万端、一気に実行に移すと言われる。女王が手を伸ばさなかった環境分野などに取り組むだろうか。中国の習近平国家主席が来賓として渡英したとき、チベット問題への抗議として晩餐会を欠席したことがあったが、これからは「威厳ある沈黙」より「ものを言うロイヤル」を選ぶかもしれない。かねてより繰り返す王室スリム化にも早々に手を付けるだろうか。

 ただ、カミラ夫人が「王妃」になったことには不満がくすぶる。国民から卵を投げつけられ、女王から一度は「あの性悪女」とまでののしられた人物が「王妃」に上りつめたことに違和感を覚えるのだ。だが、女王が「チャールズが国王になったときには、カミラ夫人を王妃に」との希望を述べたため、遺言に従わないわけにはいかない。

 カミラ王妃は常に控え目で、献身的に夫をサポートし、慈善団体のパトロンを務めてきた。女性王族最高の地位に上りつめた王妃は、国王の「カミラに頼っている」との言葉を受け、「私たちはベストを尽くします」と話す。

■「ファブ・フォー」を再現

 新国王のメッセージの中に、「外国に住むヘンリー王子メーガンさんにも愛を送る」という発言があった。

 2人が今回イギリスにいたのは偶然だった。アメリカからロンドンに着くと、マンチェスターで青少年の集まりに参加した。団体顧問を務めるメーガンさんが開会式では基調講演を行った。翌日にはドイツに飛び、インビクタスゲームが始まる1年前の記念イベントに出た。レッドカーペットを歩き、自撮りに応じ、メーガンさんには笑顔が絶えなかった。8日は慈善団体の表彰式に出席の予定だったが、急遽欠席した。

 医師団から女王の健康不安が発表され、ロンドンにいたロイヤルは一斉にスコットランドのバルモラル城を目指した。医師団のこのような発表は珍しい。ただならぬ雰囲気にウィリアム王子、アンドルー王子、エドワード王子夫妻が軍用機に乗り込んだ。当初は7人が搭乗する予定だったが、アバディーン空港に降り立ったのはこの4人だけだった。

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メーガンさんを陥れるためのデマと抗議