5000件に及ぶ片づけ相談の経験と心理学をもとに作り上げたオリジナルメソッドで、汚部屋に悩む女性たちの「片づけの習慣化」をサポートする西崎彩智(にしざき・さち)さん。募集のたびに満員御礼の講座「家庭力アッププロジェクト®」を主宰する彼女が、片づけられない女性たちのヨモヤマ話や奮闘記を交えながら、リバウンドしない片づけの考え方をお伝えします。
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case.15 片づけ作業を「分解」したら私にもできた
未婚/会社員兼クリエイター
片づけがなぜか苦手だという人は、「片づけ」にくっついた余分な感情が邪魔されていることがあります。自分でかけたメガネを探す人みたいに、本人は気づいていないから必死です。いろんな壁に体当たりするうち、はたと目の前の問題に気づくのです。
うすうす心に問題があるのは知っている。でもどうしたらいいかわからない。だから全力で片づけて、「根っこから苦手意識をぶっ壊す!」って勢いでプロジェクトに参加した女性がいました。
ワンルームに1人暮らし。彼女はプロジェクト前をこう振り返ります。
「職場では片づけられるんです。でも家はすさまじい状態。床が見えなかったですから。家に帰ると全部エネルギーを吸い取られたように疲れていました」
会社員として働き、プライベートでは作品づくりに没頭するクリエイターです。
「前職でうつになって休職中に一度全部片づけたんです。復職してすぐにリバウンドしたけど、どこかで暇があればできると楽観視してました。でも転職して余裕ができたのに変わらず。ああ、これは心の問題だなと。このままじゃヤバいと焦りながら、見て見ぬふりでした」
原因は子ども時代にあると感じていました。
「母は、静音時計の音がうるさい、と言うほど繊細な人。散らかると疲れるので片づけに必死です。父は正反対で片づけられないし気にならない。一緒の部屋は無理だから全員に個室があって、母は共用部だけきれいにします。リビングに物を置きっぱなしにしようものなら本当に捨てられました」