寄り添う。これこそお二人のテーマだろう。美智子さまの拉致被害者についての2度目の記述は、こう続く。「これからも家族の方たちの気持ちに陰ながら寄り添っていきたいと思います」

 皇室はいま、国民と触れ合えないという大問題に直面している。コロナ禍がつれてきた事態で、当分解消されないだろう。天皇陛下雅子さまは「オンライン行幸啓」をし、専門家を招いての進講に熱心に取り組んでいる。が、国民にはなかなかその活動が見えない。

 美智子さまなら、今何を語るだろう。そう思ってしまう。結婚する前から世の「空気」と向き合い、荒れる言論にも正々堂々と意見を述べた。“ジェンダー平等”を何十年も前に語り合い、女性が女性であることの苦しみを拾い上げた。そういう「言葉の人」だから、今の思いが知りたくなる。

 18年の誕生日には、代替わりを控えての感慨がさまざま語られた。次の時代についての言及は短く、ご自身についてはこう述べた。

「私も陛下のおそばで、これまで通り国と人々の上によき事を祈りつつ、これから皇太子と皇太子妃が築いてゆく新しい御代の安泰を祈り続けていきたいと思います」

 令和の、そして未来の皇室を考えるのは、陛下と雅子さま、そして今を生きる国民。それが美智子さまからのメッセージなのだと思う。

週刊朝日  2022年1月7・14日合併号

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