理系の生徒が約6割を占め、進学先に理工系学部を選択する生徒が多いという私立中高一貫の東京・豊島岡女子学園。学校ではどのような工夫をしているのだろうか。AERA 2022年1月24日号は卒業生や教諭に取材した。
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「高校時代、どんなに努力しても数学の成績が上がりませんでした。1997年の(大学入試)センター試験本番も、数学II・Bは36点でした」
北海道大学医学部出身の大西良佳医師(43)は言う。
「国語と社会が得意な文系タイプだったのに、苦手な理系科目を諦めずにいられたのは、切磋琢磨できる仲間がいたから。友人たちが目標を持って頑張っていたので、私も自然と頑張れる環境でした。また、数学や化学が得意な友人も多かったので、理系に対する特別感がなかったこともあると思います」
■「苦手を感じさせない」
出身校は私立中高一貫の東京・豊島岡女子学園だ。2021年度は全医学部医学科合格者が全国2位で、東京大学合格者は21人。進学先の学部で最も多いのは理工系で33.9%、次が医学の16.5%で、例年、理系の生徒が過半数を占める。竹鼻志乃校長(55)はこう話す。
「21年度は少ないですが、高校3年生における理系の人数比は58%、前年度は67%でした」
世間では「女子は文系、男子は理系」のイメージがある。実際に、東京大学とベネッセ教育総合研究所の18年の調査(小中高生約1万人が回答)で、理系だと自認する高校1年男子は49.5%に対して、高校1年女子はわずか26.5%だった。
竹鼻校長はこう話す。
「特別なことはしていませんし、理系を増やそうと意識したわけでもありません」
ただ、ある工夫をしている。
「生徒に苦手を感じさせないようにしています。質問しやすい環境を作り、つまずきを早期解決できるようにしています。数学の幾何分野では、グループ学習を通して生徒たちが発言しやすい授業をしています」