流出した世界史Bの問題
流出した世界史Bの問題
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 前代未聞の入試問題流出事件で急展開だ。大学入学共通テストの世界史の問題が試験中に流出した事件で、受験生の女性(19)が1月27日、香川県警に出頭したことがわかった。

「私がやりました」と事件の容疑を認める趣旨の供述をしているという。

 警視庁では捜査員を派遣し、事件とのかかわりも含めて事情を聴く方針だ。

 警視庁などによると、流出したとされるのは15日にあった世界史Bの問題だ。試験中、会場の外にいた東京大学の学生2人に、問題を撮影したとみられる画像数十枚が通話アプリ「スカイプ」で送られ、学生の1人は依頼主に解答を送り返したという。

 東大生2人はテスト前、家庭教師の紹介サイトを通じて、「受験を控えた17歳の高2女子」を名乗る人物と知り合い、「家庭教師の実力を知りたい」と問題を解くよう依頼されたという。

「17歳の高2女子を名乗る依頼主はN・Aという名前で家庭教師の紹介サイトに登録されていた。このサイトはHPによると、東大などの学生の家庭教師ら300人が登録されており、受験生らと個人契約し、オンライン授業をあっせんするシステムとなっている。警視庁がN・Aの名前を大学入試センターに照会したところ、50万人近い当日の受験者の中に同姓同名の人物はいなかったことが判明した。偽名を名乗っていた可能性が高く、香川県警に出頭した19歳の女性と依頼主が同一人物なのか、調べを進めている」(捜査関係者)

 実は入試をめぐる不正問題はこれが初めてではない。11年前の2011年に同種の事件が発生している。事件は、京都大など4つの大学の入試問題がインターネットの質問サイト「ヤフー知恵袋」に投稿されたもので、ハンドルネーム「aicezuki」を名乗っていた仙台市の男子予備校生(19=当時)が、事件発覚直後に捜査線上に浮上。その後、京都府警が偽計業務妨害の疑いで予備校生を逮捕した。早稲田大学と立教大学の入試問題も投稿され、当時は警視庁も捜査に加わった経緯がある。

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11年前の京大で不正事件も