逮捕された男子予備校生は、事件を起こした動機について「母親を安心させたかった」と供述した。予備校生は山形県出身で、祖父母と両親の計5人で同居していたが、高校3年だった2009年12月に父親が死去。卒業後は仙台市の予備校の寮に1人で住んでいた。母親の経済的負担を減らそうとしたことが投稿につながったとみられる。その後、2011年7月の少年審判の結果、男子予備校生は不処分となっている。
この事件を受け、大学入試センター試験でも携帯電話の電源を切ることを徹底させるなどのカンニング対策が強化された。
受験生に事前配布された大学入試センター試験の冊子には、それまでも携帯電話などの電子機器を使用すると成績が無効になると明記されていた。この事件を機に「電子機器を身に付けたり持っていたりするだけで不正行為となることがある」と付け加えられた。
受験生を信じつつも監視を強めざるを得ない、試験現場の苦悩はある。各科目の試験時間の前に机の上にいったん携帯電話を置かせて、電源を切ってからかばんなどの中に片付けさせること、試験監督から死角となる座席を作らないこと、試験官が巡回する頻度を上げることも決めている。
ある入試関係者は「会場や人員に制限があり、全国一律にできる範囲の対策を取ることがなかなか難しい。やはり受験生のモラルに頼る部分が大きい」と話す。
警視庁は出頭した19歳女性から詳しく事情を聴き、容疑が固まり次第、偽計業務妨害容疑で立件する方針だ。
(野田太郎)