絶対に息子をないがしろにはできないと彼女は長期で休暇を取得。職場への罪悪感と不安感で胃が痛む日が続き、子どもと家に居ても何をしたらいいかわからない。そんな時期に家庭力アッププロジェクトを知りました。
「もう典型的な片づかない家でした。家族全員、物が好きで、夫はフィギュアやカードゲーム、私は洋服や文房具、息子はゲームやおもちゃ。集めるけど減らさない。減らさず自己流で片づけようとするから収納ばかり増やして」
片づけの敗因をこんなふうに振り返ります。ノートには「いつ人が来ても平気な家にしたい」とのメモが。片づけたらいつも自宅に呼んでくれる息子の友だちを家に招くと決めました。
片づけは、毎日、ごみ袋を一つでも家から出すことからスタートします。彼女の家には、過去に仕分ける気にならなかった物、使わない物、趣味の物をとにかく突っ込んでいた部屋がありました。見ないふりをしてきた所に手をつけると、実は時間も心の余裕もないと思い込んでいただけで、短時間で思いのほか片づくし、物はほとんど必要なかったと気づいたそうです。
彼女の導火線に火をつけたのはそんな小さな行動と、もうひとつ。「物置に住宅ローンを払うなんてもったいない」という講座での言葉でした。
「わが家には物置がいくつもある。本当に物置に住宅ローンを払っている。何で気づかなかったんだろうと衝撃で」
物置はどうしたいのか。考えてみたら「家族の心地よい居場所にしたい」と思えて、各部屋のコンセプトとゴールが見えてきました。
次の転機となったのはダイニングテーブル。ダイニングには手製のカウンターがあり動線が悪くテーブルも物置化していました。そこで思い切ってカウンターをなくしてみたんです。キッチンからもリビングからもスムーズに行けるようになりました。
「久しぶりにダイニングテーブルを家族で囲んだ時、歓声があがったんです。お母さんやったねって。夫も息子も頑張ってくれたので達成感がありました」