大阪桐蔭、履正社と同じ関西を代表する強豪で一足早く指導者が交代しながらも、より存在感を増しているのが智弁和歌山(和歌山)だ。かつては甲子園では勝ちながらも、プロで活躍するOBは少ない印象が強かったが、岡田俊哉(中日)、西川遥輝(日本ハム※現楽天)を輩出してからプロ入りする選手が増加。2018年8月に中谷仁監督が就任するとその勢いはさらに加速し、2018年からは東妻勇輔(ロッテ)、林晃汰(広島)、黒川史陽(楽天)、東妻純平(DeNA)、細川凌平(日本ハム)、小林樹斗(広島)、そして昨年は黒原拓未(広島)と4年間で7人ものプロが誕生している(東妻勇と黒原は大学経由でのプロ入り)。その中から林が昨シーズン後半にいち早くレギュラーを奪い、他の6人もチームの若手有望株として期待は高い。学校自体も昨年夏に智弁学園(奈良)との智弁対決を制して21年ぶりの優勝を果たしており、今後もしばらくは強さが続きそうな雰囲気は十分だ。
高校から直接のケースは少なくても、大学や社会人経由で多くの選手がプロ入りしているのが広陵(広島)だ。現時点でNPBに12人が所属しているが、そのうち9人が大学、社会人経由となっている。その顔ぶれを見ても野村祐輔(広島)、小林誠司(巨人)、佐野恵太(DeNA)、福田周平(オリックス)、太田光(楽天)などレギュラークラスが多いのも特徴だ。現在のチームも昨年の明治神宮大会で準優勝を果たしており、エースの森山陽一朗(新3年)、中軸を打つ内海優太(新3年)、真鍋慧(新2年)などプロが注目する選手も多く、今後も中国地方の雄として期待される。
公立高校で最も目立つのが大分商(大分)だ。現時点で7人がNPBに所属しており、昨年の東京五輪でも源田壮亮(西武)、森下暢仁(広島)と2人のOBが代表選手に名を連ねている。同じ大分県内では昨年春の選抜で準優勝を果たした明豊がチームとして強さを発揮しているが、プロへの選手輩出という意味では大分商がリードしていると言えるだろう。野球部の専用グラウンドがあるわけではなく、施設に関してはいわゆる普通の公立高校と大差はないが、それでも選手が育つ好例と言えるだろう。