「2年ぐらいで治る人がいる一方で、10年以上病気とつきあっている人も少なくありません。本人が楽しみや生きがいも感じながら社会生活を送れているなら、『たまにつらいときは食べ吐きしたっていい』という状態に落ち着いていけばいいのではないでしょうか」
■支援拠点病院を指定 SNSで情報発信も
日本には摂食障害に詳しい医師が少なく、適切な診断や治療を受けられずに症状が悪化する患者がたくさんいる。またネットにあふれる摂食障害の情報は玉石混交で、正しい情報にたどりつけないケースも少なくない。
厚生労働省はこの状況を改善すべく、宮城県、千葉県、静岡県、福岡県にある重度の摂食障害患者を受け入れられる病院を「摂食障害支援拠点病院」に指定した。専門家が患者や家族の相談に応じるほか、医療機関につなぐ役割も担う。さらに4県以外の在住者を対象に「相談ほっとライン」を設置。電話相談に加え、若い世代が利用しやすいSNSでも情報を発信している。日本摂食障害協会や各都道府県の精神保健福祉センターでも、情報が得られる。前出の河合医師は言う。
「病院受診は難しくても、少しでも治りたい気持ちが出たときにはこうした相談窓口に連絡してみてください。根拠のある正しい情報につながることが治療の第一歩です」