その流れの中での「8枠」である。単純に現在(2022年3月31日発表)のFIFAランキングで出場8カ国を決めるとすると、イラン(21位)、日本(23位)、韓国(29位)、オーストラリア(42位)、サウジアラビア(49位)、カタール(51位)、UAE(68位)、イラク(72位)となる。さらにオーストラリアが本来のオセアニア枠に戻る可能性もあるため、そうなるとオマーン(75位)が繰り上がり、以下、中国(77位)、ウズベキスタン(83位)、シリア(88位)、バーレーン(89位)、ヨルダン(91位)、キルギス(95位)、ベトナム(96位)、レバノン(97位)、インド(106位)、北朝鮮(109位)、タイ(111位)と続く。日本は今回の最終予選で中国、ベトナムと同組だったが、チーム力的には明らかな格下であり、直接対決で苦戦することはあっても、予選全体の勝点計算の中で下回ることは考えられない。上位8カ国までは“面白い対戦”になりそうだが、9番手以下との実力差は大きく、それ故にアジアに「8枠」が確保される限り、日本の「楽々突破」が続くことになるだろう。
2026年以降、W杯の景色は間違いなく変わり、アジアを筆頭にW杯初出場国が多く誕生することは、さらなる市場拡大に繋がる。加えて、試合数の増加(64試合→80試合)や消化試合の消滅なども、「48カ国出場」のメリットとして挙げられる。確かにスケジュール面の問題や点差が離れた大味の試合が増える可能性はあるが、より多様性に富んだ魅力的な大会になると期待が持てる。だが、現行の「4.5枠」でもそれほど苦しむことなく本大会出場を決めた日本の立場からすれば、「8枠」となる恩恵はあまり感じないだろう。むしろグループリーグが3カ国ずつの16グループに分けられることによって、最低実施試合数が「3」から「2」に減ることのデメリットの方が大きいと感じる。何より、これまで日本代表がアジア予選の中で繰り返してきた「窮地を脱して強くなる」というプロセスを踏めなくなることは、本大会での日本の早期敗退の可能性を高めることになる。