今後、日本がアジア予選で敗退することはほぼないだろうが、それでチームが強くなるわけではない。他方、欧州では新たにネーションズリーグが始まり、強豪国同士による真剣勝負の場が増えた。ブラジルやアルゼンチンが属する南米では、常に激しく、質の高い試合が行われている。それによってチーム戦術も磨かれており、経験も積み重ねて行くことができている。これから先、世界のトップグループと日本がいる第3、あるいは第4グループとの差は開く一方になるかもしれない。W杯の出場チームが「16」から「24」、さらに「32」と増えた中でも、2002年の韓国を除き、大会のベスト4進出国は欧州と南米ばかり。これが「48」と増えたとしても、状況は変わらないだろう。
ただ、かつて日本がそうであったように、中国やインド、ベトナム、タイといった国々がW杯初出場からサッカーブームを沸き起こし、国内リーグの発展、スター選手の登場、そして代表チームが強くなるという“あらすじ”を描くことはできる。アジア予選が形式的なものになってしまっては、日本代表の成長は望めない。日本サッカー協会は「2030年までにW杯ベスト4」、「2050年までにW杯優勝」という目標を掲げているが、そのためには日本だけでなく、アジア全体のレベルアップが必要不可欠になる。その試金石としても、2022年のカタール大会では、アジア勢には“結果”を求めたい。アジア「8枠」との整合性を取り、今後の発展への足掛かりにしなくてはならない。(文・三和直樹)