先代の猫を亡くした時、(猫のいない生活が久しぶりで)私はよく眠れなくなっていたのですが、ひじきちゃんが来てから、ぐっすり眠れるようになりました。相思相愛でした。
そんなひじきちゃんにとって、娘はライバル。たまに家に来ては生意気そうな口をきくので、「何様?」と怪訝(けげん)そうな顔をして娘を見ていました。
ある日、娘がふだんひじきちゃんの寝ている部屋に布団を敷いて寝ていたら、おしっこをかけたんです。「なんでそこにいる。なんで僕のママに威張る」という抗議のように。
だから私はひじきちゃんにこう言ってみたんです。
「あなたが私の長男で、あの子は“ペット”よ(笑)。こわくないよ」と。
するとひじきちゃんは「ペットなら優しくするか」というように、娘を受け入れました。その後、二度と娘の布団におしっこをかけることはなくなりましたよ。
言葉を理解しているんだなと思える、こんなエピソードもあります。
娘が体調を崩した時、「(薬を飲むのはいやだけど)ひじきが一緒に寝てくれるなら、薬を飲んでもいい」と言うと、それまで一度も娘とは一緒に寝なかったひじきが、真夏の暑い時に、寄り添って寝てあげたのです。それには娘も感動していました。
私たち親子のことについて少しお話します。
娘は中学時代に友人をかばったことからいじめに遭い、登校拒否気味となり、家のことなども重なって心の病となりました。
心配なあまり私がかまいすぎて共依存のようになり、お医者さんからは少し距離を置くようアドバイスをいただきました。それで住まいも別にしたのです。
当時、娘は週に何度か私の家に来ましたが、不調な時は、私に強くあたることもありました。大声で暴言を吐くようなこともありました。そんな時も、ひじきちゃんは毅然(きぜん)としていました。
娘が調子を崩して倒れ、救急車を呼んだことがあったんです。そのとき救急隊員がどかどかと家に入ってきたのですが、ひじきちゃんはなんら動じることなく座っていました。