飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回は、東京都在住の高山美千代さん(74歳)に愛猫のお話を伺いました。親子の猫を20年ほど飼ったあと、かかりつけの動物病院の紹介で、福島で被災した雄の黒猫を家に迎えました。放浪して身も心もボロボロ、年齢もはっきりわからない黒猫でしたが、高山さんにとても甘えてハッピーに過ごし、高山さんの家族にもうれしい出来事が起きたといいます。
【写真】お気に入りの猫クッションの前でご満悦のひじきちゃん(提供)
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福島県出身のひじきちゃんが我が家に来たのは、2014年の年の瀬が迫る、12月30日のことでした。
実はその2カ月前の10月に、先代の愛猫マギーを21歳で看取りました。前年にはマギーの母猫の、まぁ坊を20歳で見送っています。その2匹の親子猫をずっと診てもらっていた都内の動物病院から、思いがけない“ご縁”を頂いたのです。
マギーが旅立った後、近くに住む40歳の娘が、動物病院に「今までありがとうございました」とごあいさつにいきました。そして、「母も年だし、もう猫を飼うこともないと思うのですが」と言うと、先生にこう勧められたのです。
「若い猫ちゃんは無理でも、おとなの猫ちゃんなら(お年寄りが飼うのに)いいと思いますよ。今ちょうど、3歳から5歳くらいの年齢の黒猫がいます」と。
それがひじきちゃんでした。
もともと飼い猫だったようですが、福島で東日本大震災と原発事故が起き、旧警戒区域内に取り残されてしまった。その後保護され、福島県動物救護本部が運営していた「三春シェルター」に被災ペットとしてお世話されたと聞きました。
ひじきちゃんはそこから動物病院の「預かり猫」になったのですが、うちに来る2カ月前、シェルターのスタッフから病院の先生に受け渡された時、「ここどこ?」とキョロキョロしたらしいです、都会に驚いたのかもしれませんね。
もちろん、病院からお話を頂いた時に悩みましたよ。私は高齢だし、娘も体が弱いからです。でも、ひじきちゃんはクリスマスを過ぎてももらい手が見つかっていなかったし、院長先生が、「この先、万が一(私たちに)何かあった場合は病院で責任を持つ」と背中を押して下さったので、決心しました。