「スマイルズ」ジラフ事業部
giraffeデザイナー
中村 裕子(なかむら・ゆうこ)/1983年生まれ、埼玉県出身。多摩美大卒業後、2005年に入社したイッセイ ミヤケを経て、06年ジラフにデザイナーとして入社。ブランドデビューから全ネクタイのデザインを担当(photo 写真映像部・東川哲也)
「スマイルズ」ジラフ事業部 giraffeデザイナー 中村 裕子(なかむら・ゆうこ)/1983年生まれ、埼玉県出身。多摩美大卒業後、2005年に入社したイッセイ ミヤケを経て、06年ジラフにデザイナーとして入社。ブランドデビューから全ネクタイのデザインを担当(photo 写真映像部・東川哲也)
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 全国各地のそれぞれの職場にいる、優れた技能やノウハウを持つ人が登場する連載「職場の神様」。様々な分野で活躍する人たちの神業と仕事の極意を紹介する。AERA 2022年8月1日号には「スマイルズ」ジラフ事業部・giraffeデザイナーの中村裕子さんが登場した。

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 サラリーマン男性の毎日に欠かせない、ネクタイ。そのデザインを専門に手掛ける女性デザイナーがいる。ネクタイブランド「giraffe(ジラフ)」で、2006年の立ち上げから、通算で約8千本以上のネクタイデザインを担当してきた。

 その一つ一つへのこだわりが凄まじい。ネクタイ1本のデザインに使う素材の見本を、何百枚のカラーチップの微妙な色の違いから選び出し、生地から考えてネクタイに仕上げる。生地は京都の西陣織の一流の業者に発注して織り、魂を込めた唯一無二のネクタイを生み出してきた。

 以前は大手のイッセイ ミヤケに勤務していたが、そこで現在の社長を紹介され、美大の「生産デザイン学科」で学んだテキスタイルの知識を生かせる、giraffeのデザイナーに就任した。

「ラッキーだったと思います。元々服飾デザインの専門学校に行くつもりでしたが、母に大学は出ておきなさい、と言われて美大のテキスタイルデザイン専攻を選びました」

 ストライプやレジメンタルなど、基本的なネクタイの柄も彼女のセンスが加わると、より洗練された印象に変わる。また、この春に発表したコレクション「喫茶ジラフ」のシリーズは、コーヒーカップやプリンの柄の可愛いネクタイ。タイピンにサクランボをつけて合わせるなど、女性目線のおしゃれなネクタイは、ギフトとしても大人気だ。

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