造りの洋館のような外観/大川オアシス
造りの洋館のような外観/大川オアシス

 オープンは東京五輪直前の64年7月で、「国内のドライブインの中でも早いほう」(本村さん)。運営する親会社、大川バス(さぬき市)の当時の専務が米・サンフランシスコで見たドライブインに触発され、店を出すことに決めた経緯がある。

 高速道路の開通後、長く苦しい時期は地元の常連客に支えられ、乗り切った。客足は今ではコロナ前の1.5~2倍の水準まで回復した。ガラス窓から見える瀬戸内海を背景に撮影すると写真映えがするとして、人気のクリームソーダは1日あたり平均20~25杯の注文がある。本村さんは「しばらくは元気にやっていかなきゃと思って頑張ります」。

メディアなどでよく取り上げられるドライブインはほかにもある。ドライブイン七輿の近くにある茂木ドライブイン(群馬県下仁田町)は同町出身のタレント、井森美幸さんがデビュー前にアルバイトをしていたことで知られる。食べ放題の「みそおでん」や、山小屋風のユニークな店構えが名物だ。舞木(もうぎ)ドライブイン(福島県郡山市)は、テレビドラマ孤独のグルメ」(テレビ東京系)に登場。休日には松重豊さん演じる主人公が食べた「焼肉定食」や「ぞうりぱん」を目当てに行列ができることもある。

 こだわりの鳥料理が人気のドライブイン鳥(佐賀県伊万里市など)は、佐賀県が舞台のテレビアニメ「ゾンビランドサガ」の“聖地”の一つ。アニメには、主人公らがこの店のキャンペーンガールを務めたエピソードがある。訪れたファンは、店の写真をSNSに思い思いに載せる。写真映えするかや、映画やアニメの聖地かどうかは、集客を左右する要素になりつつある。(本誌・池田正史)

週刊朝日  2022年5月20日号より抜粋

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら