代表の木村清さんと妻ふじ子さん。
店内に懐かしい自販機やゲームが並ぶ/ドライブイン七輿
代表の木村清さんと妻ふじ子さん。 店内に懐かしい自販機やゲームが並ぶ/ドライブイン七輿

 創業は75年8月。当時、県内で増えていた自販機売り場に目をつけた木村さんが、脱サラして始めた。「デコトラ」や走り屋の集まりがあったり、カラオケイベントの会場になったりしたこともある。当初5~6台だった自販機は、ピーク時には40台近くまで増やした。

 ただ80年代に入り、周りにコンビニができ始めると売り上げは減少に転じた。近くにバイパスができ、店の脇の交通量も減った。自販機を半分に減らし、調理師を雇って食堂を始めたり、ゲームコーナーを併設したりしてやりくりしてきた。

 経営が上向きに転じたのは、約20年前にVシネマの撮影が行われたことがきっかけだ。昭和を感じさせるレトロなたたずまいが注目され、その後、歌手の山崎まさよしさんが主演の映画「影踏み」や、横山秀夫さんが原作のNHKテレビドラマ「64(ロクヨン)」といった作品のロケ地になった。情報番組でも取り上げられ、埼玉県や関西地方など県外から訪れる客が多くなったという。

「私たち夫婦も機械も、動く限りは頑張るつもり。いずれは息子が継いでくれるでしょう」(同)

 大川オアシス(香川県さぬき市)も、昭和レトロブームが追い風になっている。店長として35年以上切り盛りしてきた本村佳子さん(66)は言う。

絶景〝映える〟「大川オアシス」(香川)/瀬戸内海が一望できるテラス席
絶景〝映える〟「大川オアシス」(香川)/瀬戸内海が一望できるテラス席

「25年ほど前に高速道路が近くにできてからお客さんは減り続け、コロナ禍も打撃となりました。でも、昨秋に人気番組『超無敵クラス』(日本テレビ系)、今年1月に朝日新聞で紹介してもらってからお客さんは一気に増えました。今では大阪や東京など全国からお見えになります」

 店は高松市と徳島市を結ぶ国道沿いにある。瀬戸内海をのぞむ食堂や喫茶のテラス席からは、小豆島や淡路島が一望できる。メニューには、開店当初から出しているというナポリタンやオムライスといった定番の洋食のほか、クリームソーダや果物ジュース、パフェなど昭和世代には懐かしい食べ物や飲み物が並ぶ。たくさん食べたい人は、近くの海でとれた新鮮な魚を使った刺し身やすし、地元の名物「たらいうどん」もある。

クリームソーダはSNSなどで人気/大川オアシス
クリームソーダはSNSなどで人気/大川オアシス
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