協会で事務局長を務める石田光二さんは言う。

「国内ツアーを扱う旅行会社と連携する店の数などから推測すると、現在は数百軒ほどに減ったと見込まれます。高速道路やバイパスといった交通網の整備に伴い、店の前を車が通らなくなったり、充実した設備のある高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)が増えたりしたためです。後継ぎが見つからずに店をたたむケースもあります」

 国土交通省が管轄する「道の駅」や、大きな駐車場のあるコンビニ、ショッピングセンターなどもドライブインにとっては脅威だ。道の駅は国交省への登録が必要で、市町村や「公的な団体」が運営する。ドライブインとは対照的に、事業が正式に始まった93年から今年2月までの約30年で1194件に増えた。単純に計算すると、年平均40件近くが新しくできるペースだ。

 だが、全国各地に元気なドライブインはまだまだある。

「映画やテレビドラマのロケ地巡りをするお客さんに加え、3~4年前からは『昭和レトロ』な雰囲気を写真に撮りたいという若い人たちが目立つようになりました」と話すのは、ドライブイン七輿(ななこし、群馬県藤岡市)代表の木村清さん(74)だ。

レトロ自販機で昭和を満喫「ドライブイン七輿」(群馬)
レトロ自販機で昭和を満喫「ドライブイン七輿」(群馬)

 店には、うどんやラーメン、そば、チーズバーガー、トーストといった食べ物を出す自動販売機がずらりと並ぶ。いずれも、すでに自販機メーカーも製造や販売をやめた年代物ばかり。故障も多く、動かなくなった自販機から使える部品を取り出し、自前で直しながら使い続けている。

「手間はかかりますが、自販機を目当てに来てくれるお客さんは多い。修理に時間がかかっても、何も言わずに待っていてくれます。ありがたいことです」(木村さん)

 地元で桜の名所として人気の旧跡「七輿山古墳」と隣り合わせで、平日は地元客や休憩に立ち寄るサラリーマン、休日はバイクやスポーツカーの愛好家、家族連れの観光客らが集う。平日はラーメンが50杯前後、うどんやそばが約30杯ずつ、週末にはその倍くらいが売れる。自販機で扱う料理の仕込みや店の経営は、妻のふじ子さん(71)と夫婦で切り盛りする。

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