夫が透析に行く前の、穏やかなひととき
夫が透析に行く前の、穏やかなひととき

■いやです、耐えられません
 
 主人が亡くなったのは、まだ暑さの残る9月8日でした。悲嘆にくれているところに、さらに追い打ちをかけるようなことが起きました。ボクが倒れたのです。

 立てなくなり、水以外、口にしようとしません。動物病院に連れていくと、脱水していました。主人と同じで透析をしないといけないくらい腎臓の数値が悪化していたのです。

「(腎臓病で)このままだとあと1週間です」

先生の言葉に、私は蒼白(そうはく)になって言いました。

「いやです。主人が逝ったばかりで、今ボクに逝かれたら耐えられません」

 それで先生と相談し、2日に一度、皮下輸液をすることにしました。先輩タロもそうでしたが、輸液をすることで、脱水症状を少し改善できるのです。
 この日から、ボクを連れての通院通いがはじまりました。

 輸液をすると、少し食べたり水を飲んだりして、よろけながらもトイレにもいきました。でもおしっこを終えると自力でふとんまで戻れず、「終わったよ~」と鳴いて。私はトイレから抱いてふとんに戻し、ごはんをスプーンで口元に運びました。
 

窓越しに外をじっと見ています
窓越しに外をじっと見ています


 
 若い頃は体重が4キロを超えてぽっちゃりしていたのに、いつしか2キロ台になりました。それでも輸液を頑張り、2カ月経つと、先生も「ボクがんばってるね~」とおっしゃって。

 とにかく24時間つきっきり。私がお風呂に入ると、ボクはさみしそうに鳴いて、洗面所で待つこともありましたね。

 ボクがさらに弱っていくと、輸液がつらいのではないかと悩み、「一日でも長く生きてほしいけど、可哀想かな」と先生に相談しました。すると先生が「水も少しずつ飲むし、苦しんでいないので、できるだけのことはしましょう」と励ましてくださいました。

 でも、12月近くなると自分で動けなくなり、昼間に窓際に寝かせると、外を見ながらうとうと眠ったり起きたり。夜、私が寝るとそばにこようとするので、ふとんにいれました。

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