なぜラジオは3時間の生放送でも聞き続けられるのか? ラジオDJとして25年、第一線で活躍し続ける秀島史香さんですが、実は「もともと緊張しがちで人見知りで心配性」といいます。そんな秀島さんだからこそ見つけられた、誰でも再現できる「人が聞き入ってしまう会話のレシピ」を一冊に詰め込んだ『なぜか聴きたくなる人の話し方』からの連載。今回は、会話のアクセントになるオリジナルフレーズの作り方をご紹介します。
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■フックになる言葉は身の回りに落ちている
私たちが朝起きてから夜寝るまで、世界は「これはおもしろい!」と感じる魅力的な表現であふれています。ニュースや新聞、本や雑誌のタイトルや見出し、街で見かけるポスターまで、人の耳目を集めるため練られた言葉は、心にフックのように引っかかるもの。
このような刺激を受けながら私が作っているのが、オリジナルの「新語」です。ラジオのフリートークにうまく入れ込められれば、「なになに?」「どういうこと?」とリスナーの興味を惹くきっかけになりますし、相手の頭の中でイメージしてもらう材料にもなります。
ただ、新語といっても、イチから新しい言葉を生み出すわけではありません。
例えば、今部屋を見渡してみたら、ふと目に留まり、思わず二度見したのが、娘が借りてきた児童書の表紙。『ブラックホールの飼い方』(ミシェル・クエヴァス著、杉田七重訳、小学館)。パラパラと開いてみると、主人公はステラという11歳の女の子。自分のあとをつけてきたブラックホールをペットにしてしまうというお話です。
描かれているのは、自身の心とどう向き合っていくかというメッセージなのですが、なんともユニークな例えに、なるほどと感心しました。自分のブラックホールを「飼う」という発想。日本語でも「孤独を飼い慣らす」という表現は目にしますが、ペットとして「飼う」という発想は新鮮!
ここから着想を得て、例えば他にも目に見えないものを飼えないかな?と連想してみる。何か他の言葉にスライドさせて使えないだろうか。例えば、「自意識の上手な飼い方」とか、「プレッシャーの飼い方」とか、「自分時間の飼い方」と、頭の中で穴埋めクイズのように遊びながらメモしておきます。
今や世の中に定着している「婚活」という言葉も、もともとは就活(就職活動)をアレンジしてできた言葉ですよね。その他にも、終活やら、妊活、朝活、腸活など、新しい「○活」が次々と生まれています。