もっとも、首都圏や関西圏でランク入りした市区町村は、鉄鋼や化学など製造過程でCO2を排出するメーカーの製造拠点が少ないうえ、人口も多いという傾向がある。

「(民生や運輸部門に)産業部門も合わせたCO2の総排出量のデータを用いているからではないか」

 こう分析してくれたのは、自治体の気候変動対策に詳しい千葉大の倉阪秀史教授だ。

「市区町村は、鉄鋼や化学メーカーなどの大企業や、発電所をもうける電力会社の事業戦略や取り組みに関与できる余地は小さい。産業政策やエネルギー政策は主に国が所管しており、こうした企業の温暖化対策も、国の及ぼす影響が大きい。各自治体の純粋な“政策努力”をはかるうえでは、総排出量のうち、鉄鋼や発電による排出量が含まれる産業部門の排出量を除くと、また違った結果になるかもしれません」

 温暖化対策では、自治体同士の連携も広がる。

 42位の大阪府豊中市は7月、同府吹田市(53位)や兵庫県西宮市(80位)、同県尼崎市(ランク外)と隣接4市による協定を結んだ。

「取り組みの具体化はこれからだが、気候変動問題への関心の高まりを足がかりに連携を深め、効果が上がるようなら、ほかの自治体にも連携の輪を広げていきたい」(豊中市環境政策課)

(本誌・池田正史、浅井秀樹)

週刊朝日  2021年9月10日号より抜粋

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