今後30年間で震度6弱以上の地震に襲われる確率が、公開された「全国地震動予測地図」から見えてきた。AERA2021年6月7日号では、巨大地震の「発生確率」と過去5年半の「地震回数」を徹底調査。自分の住む地域の将来の「確率」と、これまで揺れた「回数」からリスクを把握し、いつか来る大地震に備える必要がある。確率は低くても安心できない。
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「これ以上、大きくならないで!」
5月14日朝、福島県相馬市にある温泉旅館「蒲庭館(かばにわかん)」6代目女将の金子敏代さんは、思わず叫んだ。
この日、午前8時58分ごろ福島県沖を震源とした地震が起き、海岸近くの高台にある旅館は震度4の揺れに襲われた。身体に感じる揺れはそれほど強くなく、モノが落ちるなどの被害もなかった。それでも不安は募った。
2011年3月11日。東北地方の三陸沖を震源に起きたマグニチュード(M)9の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で相馬市は最大震度6弱の非常に強い揺れを観測。築30年近い旅館の建物は屋根がずれ、雨漏りがするなどダメージを受けた。
そして今年2月13日、福島県沖を震源とした地震が発生し、旅館は震度6強の揺れに見舞われた。建物の外壁は崩れ室内の壁には何十カ所も亀裂が入り、温泉を引くパイプがゆがんだ。1週間近く休業を余儀なくされた。続いて3月20日、相馬市で震度5弱の揺れがあり、建物の壁はさらにずれたりした。修理をしているがなかなか進まない。そこを震度4の揺れが襲ったのだ。金子さんは、嘆く。
「また大きな地震に襲われるのではないかと思うと、不安で仕方ありません」
どこで揺れているのか
日本は世界有数の地震国だ。近年も、日本各地で不気味な地震が頻発している。一体どこで多く揺れているのか。見極めるために本誌は、気象庁の「震度データベース検索」を使い、16年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で起きた震度1以上の地震の回数を集計し、日本地図に落とし込んだ。北海道は面積が広いため、参考までに函館と旭川、根室も集計した。
最も回数が多かったのは熊本市で2253回。群を抜いているが、16年4月に起きた「熊本地震」と関係していると考えられる。もとから地震活動が活発な東北の太平洋側は盛岡市で457回、仙台市で340回と比較的多い。
では、いつどこで大地震が起きるのか。今の科学の知見では、確度の高い地震予測は難しい。せめて、強い揺れに襲われる可能性がある地域はどこなのか知りたい。