2016年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で記録した震度1以上の地震回数を集計、棒グラフで示した。また「今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率」を地図に色付け。地形の色が青色から紫色に濃くなるほど起きる確率が高まることを示す。出典・調査「全国地震動予測地図2020年版」「震度データベース検索」(AERA6月7日号から)
2016年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で記録した震度1以上の地震回数を集計、棒グラフで示した。また「今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率」を地図に色付け。地形の色が青色から紫色に濃くなるほど起きる確率が高まることを示す。出典・調査「全国地震動予測地図2020年版」「震度データベース検索」(AERA6月7日号から)
この記事の写真をすべて見る

 今後30年間で震度6弱以上の地震に襲われる確率が、公開された「全国地震動予測地図」から見えてきた。AERA2021年6月7日号では、巨大地震の「発生確率」と過去5年半の「地震回数」を徹底調査。自分の住む地域の将来の「確率」と、これまで揺れた「回数」からリスクを把握し、いつか来る大地震に備える必要がある。確率は低くても安心できない。

【拡大マップ】全国47県庁所在地別の大地震「確率」と「過去5年半に揺れた回数」はこちら

*  *  *

「これ以上、大きくならないで!」

 5月14日朝、福島県相馬市にある温泉旅館「蒲庭館(かばにわかん)」6代目女将の金子敏代さんは、思わず叫んだ。

 この日、午前8時58分ごろ福島県沖を震源とした地震が起き、海岸近くの高台にある旅館は震度4の揺れに襲われた。身体に感じる揺れはそれほど強くなく、モノが落ちるなどの被害もなかった。それでも不安は募った。

 2011年3月11日。東北地方の三陸沖を震源に起きたマグニチュード(M)9の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)で相馬市は最大震度6弱の非常に強い揺れを観測。築30年近い旅館の建物は屋根がずれ、雨漏りがするなどダメージを受けた。

2月13日、最大震度6強の地震に見舞われた福島県新地町。町内の図書館では、落下した書籍で足の踏み場もないほどに(c)朝日新聞社
2月13日、最大震度6強の地震に見舞われた福島県新地町。町内の図書館では、落下した書籍で足の踏み場もないほどに(c)朝日新聞社

 そして今年2月13日、福島県沖を震源とした地震が発生し、旅館は震度6強の揺れに見舞われた。建物の外壁は崩れ室内の壁には何十カ所も亀裂が入り、温泉を引くパイプがゆがんだ。1週間近く休業を余儀なくされた。続いて3月20日、相馬市で震度5弱の揺れがあり、建物の壁はさらにずれたりした。修理をしているがなかなか進まない。そこを震度4の揺れが襲ったのだ。金子さんは、嘆く。

「また大きな地震に襲われるのではないかと思うと、不安で仕方ありません」

どこで揺れているのか

 日本は世界有数の地震国だ。近年も、日本各地で不気味な地震が頻発している。一体どこで多く揺れているのか。見極めるために本誌は、気象庁の「震度データベース検索」を使い、16年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で起きた震度1以上の地震の回数を集計し、日本地図に落とし込んだ。北海道は面積が広いため、参考までに函館と旭川、根室も集計した。

「全国地震動予測地図2020年版」を基に、「今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率」を示した。また、気象庁の「震度データベース検索」を使い、16年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で起きた震度1以上の地震の回数を集計した(AERA6月7日号から)
「全国地震動予測地図2020年版」を基に、「今後30年以内に震度6弱以上の地震が起きる確率」を示した。また、気象庁の「震度データベース検索」を使い、16年1月から今年5月17日までの約5年半で、全国の県庁所在地で起きた震度1以上の地震の回数を集計した(AERA6月7日号から)

 最も回数が多かったのは本市で2253回。群を抜いているが、16年4月に起きた「熊本地震」と関係していると考えられる。もとから地震活動が活発な東北の太平洋側は盛岡市で457回、仙台市で340回と比較的多い。

 では、いつどこで大地震が起きるのか。今の科学の知見では、確度の高い地震予測は難しい。せめて、強い揺れに襲われる可能性がある地域はどこなのか知りたい。

次のページ
太平洋側で「高い」確率…