展示される作品は、島の周囲に広がる水平線を軸に、美しい景色と幸せそうな人々の姿で満ちあふれている。
海辺で遊ぶ子ども、釣りをする人、小舟を操り魚を捕る人、そして燐鉱石の積み出しに使う鉄橋のような「カンチレバー」。
詰まるところ、この国には「何もないんです。海しかない。何もないというのはこういうことか、と思って。だけど、太陽がちゃんと昇って、時間の変化があって、人がいる。それだけで、ぼくは面白かった。逆に、それをゆっくりと見られた感じですね。90日間、ふらふら」。
何もないので、「バイクでクルクルまわりながら被写体を探すんです。30分で国を1周(19キロ)できちゃう。渋滞なんてもちろんない」。
■いまだに新型コロナ感染者はゼロ
冒頭、ナウルのことを「謎の国」と書いたが、観光ツアーもなく、ビザが取りづらいため、現在も入国はかなり難しいという。
「たぶん、日本から年間10人も行ってないと思うんです。なぜ、そう言えるかというと、イミグレーションに台帳が置いてあって、何月何日にどこの国の誰が来た、と書いてあって、ふつうに見られる。で、それを見ていたとき、(あっ、日本人が来ている)、と思ったら、前に来た自分だった(笑)。それくらい入国者が少ない」
ちなみに、ナウルでの新型コロナ感染者はゼロという。
「『鎖国』していますから。いまはほんとうに入れない。でもまた、行きたいですね」
(文=アサヒカメラ・米倉昭仁)
【MEMO】小澤太一写真展「NAURU HORIZON」
ピクトリコギャラリー 5月12日~5月22日
写真展に合わせてオンライントークイベントも開催。詳細はピクトリコギャラリーのホームページ参照。
5月14日(金)17:00~18:00
写真やプリント、ギャラリーについて知りたい! ゲスト:三村漢(アートディレクター)
5月18日(火)17:30~18:30
謎の国・ナウルを知りたい! ゲスト:持田貴雄(フィジー野球・ソフトボール協会会長)