最近のおせちは、雑煮などの類や御飯と共に食べるというより、お酒を飲みながら食べるのに向く味付けになっているような気がしてならない。味のバランスが、以前とは違っているのだ。私はおせちを食べ終わると、すぐにふだんの食生活に戻るのだが、正月はまったく雑煮は作らず、宅配ピザを注文したり、ラーメン、焼き肉、すき焼きを集中的に食べたりする人も多いと聞いた。

 料理上手な友人は、夫が京都の骨董店で蒔絵の立派な重箱を購入したのをきっかけに、年末から1人で準備をはじめ、1月1日に夫の部下を招いて総勢10人以上の新年会をするようになった。テーブルの上がお正月風に美しく設えられ、おいしそうなおせち料理が詰まった蒔絵の重箱が並べられている画像を見せてもらったときには驚嘆した。このような家もあるのだが、ここまでではないにしろ、今後はこのような正月の食卓の風景も、趣味の範疇になってしまいそうだ。うっとりするような画像を思い出しつつ過ごしているうちに、私の正月気分はあっという間に消え去っていった。

 先日、食後にテレビを見ていたら、クイズ番組で「日本人1人が1日に食べる米の量(消費量)は、世界で何番目か」という問題が出た。国際連合食糧農業機関(FAO)の2013年のデータで、173の国と地域を調査した結果だという。1位から50位までランキングが出ていて、1位、7位、18位、32位の4か所が空欄になっており、それのどこに日本が当てはまるかという質問だった。私は、いくら御飯を食べなくなったといっても、7位、悪くて18位だと想像していたら、何と32位だった。1日に食べる量は164グラム。これは炊飯前の米の量だろうから、おにぎりにすると3個半くらいの分量だろうか。(編集部注:その後データ更新、175か国中33位と修正された。「FASTAT」2019.2.11)

 日本には大食漢の代表の力士がいるし、アスリートの若い女性たちが、「平気で丼2杯、御飯を食べます」と笑っているのを見たことがあるので、そういった人たちが、みんなが米を食べない分を補って、たくさん食べてくれているのではと想像していたが、実際はそうではなかった。そんなに少ないのかと驚いたが、考えてみたら私自身も夜はほとんど御飯は食べないし、食べたとしても茶碗に半分以下だ。朝と昼の御飯の量を考えても、おにぎり3個半の量に満たない。世の中にはうどん、そば、パスタ、パンなどもあるから、それを食事に取り入れていたら、1日おにぎり1個分もなく、全然、食べない日もあるはずなのだ。

暮らしとモノ班 for promotion
「更年期退職」が社会問題に。快適に過ごすためのフェムテックグッズ
次のページ