仮によいグレードのものを購入して1.5倍の値段の150万円とすれば、2回で300万円、3回で450万円の費用が発生することになります。65歳時点の金融資産額2767万円から戸別の修繕費用を差し引くと、2317万~2467万円が残る計算になります。この金額で老後資金を賄うとすれば、48年強~51年強はカバーできるので経済的な不安はないでしょう。

 購入したマンションは最終的にどうされるのかは定かではありませんが、売却などの処分をしなければ弟さんの手に遺産として渡ることになります。どこかで売却するならば、売却代金は老人ホームの入居費用などに充てることができます。

 マンションの購入代金は諸費用込みで2600万円としましたが、購入代金がそれよりも高くなれば老後の資金が減少することになり、反対に低くなれば老後資金は増えることになります。最終的にはGさん自身が亡くなった後のことも考えたうえで判断されるのが良いと思われます。

 簡単な試算ですが、賃貸、購入いずれを選んだとしても十分に老後を逃げ切れると思われます。ただし、もし4000万~5000万円以上のマンションを購入すれば、逃げ切ることは難しくなる可能性があります。物件価格が高くなれば修繕積立金などの負担も高くなり、また戸別の修繕費用もかさんでしまうからです。

 築年数はどの程度がいいかという質問もお寄せくださいましたが、耐用の度合いなどは一度専門家に相談されることをおすすめします。私が言えるのは、なるべく築浅物件が良いということくらいです。

 最後に現在の住まいを解体後、土地は売却予定と記載があります。売れないようであれば駐車場として貸し出し、固定資産税程度を捻出される予定のようですが、その土地は駐車場としてどれくらいニーズがあるのでしょうか。更地にして「負動産」とならないように、価格を下げてでも処分してしまう方が将来のことを考えても楽なはずです。売却は粘り強く行うべきだ、と最後にお伝えしておきます。

(ファイナンシャルプランナー 深野康彦)