こんな私なので、毎日、きちんと整った料理を作っている人を見ると、

「すごいなあ」

 と感心する。私もこのくらい、見栄えがいいものを作れればと思うが、

「この人は料理が好きなんだから、これくらいは作るのも苦にならないんだろう。私は料理が嫌いだし」

 と我が道を行くと決めた。一度、真似しようとがんばったのだが、やはり無理があって自分が心底、料理を作るのが嫌になってしまったので、自分ができる範囲でやることにしたのである。

 2016年、2017年と、土井善晴先生の『一汁一菜でよいという提案』、稲垣えみ子さんの『もうレシピ本はいらない』といった、いつも同じ簡単なものでよし、外食とふだんの家の御飯は違うという考え方の本が出版されて、私としては喜ばしい限りである。毎日、自分の食べるものは作っているとはいえ、心の中では、これでいいのかと首を傾げたことも多かった。しかしお2人の本を拝読して、バカボンのパパみたいに、

「これでいいのだ」

 と深く納得させてもらった。

 だいたい食の情報は変わっていくものだ。私が子供の頃は、御飯を食べると頭が悪くなるといい出した人がいて、パン食が推奨された。私がひとり暮らしをはじめた頃は、30品目を食べろといわれていた。ひとり暮らしでは当然、30品目など食べられなかったし、全部を食べたら腹一杯になってしまい、明らかに食べ過ぎる。そのうちその30品目説はどこかへいってしまった。それから肉は体に悪いといわれ、最近は高齢者ほど肉を食べろといわれる。いったい何を信じてよいのやらわからない。

 そこで私は世の中の、こういった食情報を信じるのはやめにした。自分が子供のときから食べ慣れているものを食べ、塩分、糖分の量には注意する。肉よりも野菜の量を多くし、食べ過ぎには気をつける。これが最低ラインであり、自分が面倒くさいと感じることはしない。それだけである。

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