料理を盛る食器も以前はそれなりにあったけれども、持ち物を減らす方向になってから、少しずつ処分している。朝は子供用の茶碗に半分ほどの御飯と、それよりも大きな漆塗りのお椀に具だくさんの味噌汁。ちりめん山椒が好きなので、それも小さな皿にいれて、木製のお盆に並べている。昼は朝の茶碗に一杯分の御飯と、六寸皿におかずを盛る。食後の食器洗いもまだ体力がある朝や昼は食器の点数が増えていてもいいのだが、仕事を終えるとさすがに疲労感もあり、晩御飯のとき、食器洗いが面倒くさいときは、皿にすべて一緒に盛って、手間をはぶいている。

 気分的にも時間的にも余裕があるときは、夜もそれぞれにふさわしい食器に盛り分ける。でもそれは毎日ではない。特に仕事が詰まっているときは、時間が惜しいので、ここのところ夜はひと皿に盛る日が続いている。ワンプレートというとお洒落な感じにはなるが、私の場合は、面倒くさい一緒くた盛りである。ただし夏は涼しげなガラスの皿を使ったり、カフェインレスの紅茶を飲むマグカップも、春夏は白っぽいものに替えている。

 私が描く理想的なスタイルは、毎食、きちんと季節やそれぞれの食材の色合いにふさわしい食器に料理をきれいに盛りつけることなのだが、実際はそれを毎日やるのは難しい。たまにやってみると、見た目もよくなるし、やっぱりいいなと思うのだが、日常的には無理だった。

 日常の御飯を作るのに、そんなにがんばらなくてもいいといってくれる人がいれば、少し気が楽になって、自分で料理を作る人が増えるのではと期待するのだけれど、やってみる人は多くはなく、興味はあるものの楽なほうに流れてしまう。それもまあ仕方がないのかもしれないが、10回の食事のうち2回は自分で作ってみてもいいんじゃないかなと思う。それを手始めに、徐々に慣れていけば、自分なりの適当御飯でも、塩分、糖分、添加物の多い菓子パンやカップヌードルを常食するよりはましのような気がする。しかしそれでも、子供がいても残念ながら自分の手で料理を作りたくない人はいるのだった。

※『一冊の本』2018年7月号掲載

※本記事のURLは「AERA dot.メルマガ」会員限定でお送りしております。SNSなどへの公開はお控えください。

暮らしとモノ班 for promotion
大型セールAmazonプライム感謝祭は10/19(土)・20(日)開催!先行セール、目玉商品をご紹介