イラスト:オカヤイヅミ
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 私が食材を買いに行くスーパーマーケットは三軒あるのだが、店内が改装されたり配置換えされるたびに、パン売り場、お惣菜売り場が拡大され続けている。それに押されて米穀類売り場は縮小の一途であるが、レンチン御飯、おかゆのレトルトは充実している。また散歩がてらに二駅先のスーパーマーケットに行ったら、幅四メートルほどの大きな棚ひとつ分に、レトルト食品の箱やパックがずらっと並んでいた。それだけ需要がある証拠だろう。

 私が作るのは自分一人分なので、家族がいる人よりはずっと楽だ。そう話をすると、

「一人だから余計に作るのが面倒くさくないですか」

 といわれる。たしかにまとめて量が作れるような料理は、一人分が作りにくかったりする。餃子は冷凍できるので餃子の皮一パック分を作るけれど、揚げ物は家でやらないと決めたし、とにかく手間がかかるものや、特殊な調味料を使う料理は作らずに、会食の際に食べると決めている。
 ずいぶん前だが、タイ料理に興味があったときは、スイートチリソース、ナンプラー、中華の豆板醤、甜麺醤、芝麻醤、XO醤、オイスターソース、他にもトリュフオイルやら買い揃えたりもしたが、一度か二度、作ったもののほとんどを賞味期限内に使い切ることができず、処分するはめになった。それ以来、そのような調味料を購入するのはやめた。私が外食する回数は、友だちと月に一回のランチと、年に何回かのビジネスランチのみである。私が料理の種類を指定することはないので、友だちや編集者におまかせする。それでも当然ながら、自分が作る料理よりもはるかに豪華でおいしいので、何を食べてもうれしい。それくらいでいいと思っている。

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